レンゲ畑
私が子供の頃は、
春になると田んぼは一面れんげ草に覆われていて、その中を駆けて遊んだ記憶がある。
いつからなのか、いまではすっかりレンゲ畑は見なくなってしまった。
レンゲ畑にはミツバチが飛び回っていたし、田植え後の田んぼにはいろんな生き物がいて、
それをつかまえようとして、しょっちゅう田んぼに足を突っ込んで靴を汚して叱られていたが、
現代の集団で登下校している子供たちがそんな遊びをする姿は見かけない。
農業を学んでいるときに、田んぼに咲いていたレンゲ草は、稲作の肥料として農家さんによって種が蒔かれていたことを知った。
それがなぜ今では行われないのか、正確には知らないけど、まあ、とにかく流行らなくなったのだろう。
レンゲ畑は自然にできてたわけでもなく、
景観の為に咲かせてたわけでもなかった。
思えば、菜の花畑も、ひまわり畑も農業の一つだ。
それがたまたま美しい景観を作り出すに過ぎない。
レンゲ畑は人の営みを助けていたし。ミツバチにも蜜を与え、ミツバチもまた人の役に立つ。
田んぼに集まるあらゆる生き物が、
そんな風に、人と共生していたのだろう。
飾りではなく、自然でもない。
営みの美しさ。
そんなものがレンゲ畑にはあったのかもしれない。